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ムードインディゴ うたかたの日々




私が初めてこの映画を見たのは大学1年生のとき。フランス語の授業で先生が見せてくれた。それ以来、私はこの映画の虜で、ことあるごとに見返す作品になった。


そりゃ初めて見た時の感想はもう、なんじゃこりゃーーーーーっていう映像の衝撃。そして、この映画は原作があったということにも最初驚きを隠せなかった。原作者であるフランス人作家のボリス・ヴィアンがこれを活字で表現??頭イカれてるよぉ。驚いたなぁ。


この映画のよさは挙げきれないけど、頑張って順番に挙げていきます。

まずは、原作と時代背景について。


ボリス・ヴィアン

ボリス・ポール・ヴィアン(Boris Paul Vian, 1920年3月10日 - 1959年6月23日)は、フランスの作家、詩人である。セミプロのジャズ・トランペット奏者としても名をはせたそう。←この白人トランペッターってところ注目。次回、説明すると思う。覚えておいてね。笑


原作名 『日々の泡(『うたかたの日々』の題名での翻訳もあり)(L'Écume des jours)』 (1947年)

<<あらすじ>>

働かずに暮らせるほどの財産をもち、自由に生きていた青年コランは、無垢な魂を持つ女性クロエと恋に落ちる。盛大な結婚式を挙げ、幸せな日々を送っていた2人だが、クロエが肺の中に睡蓮が芽吹くという不思議な病に侵されてしまう。高額な治療費のために働き始めたコランの人生は次第に狂いはじめ、クロエも日に日に衰弱していくが……。(映画.comより)


このあらすじだけ見たら、何の変哲もない、まぁ普通のお話なんです。でも、その平凡なストーリーの中に溢れるSF要素。この作品が世に出たのは1947年、第二次世界大戦終戦後。それを踏まえて、一度この映画を見てほしい。


実際、私がこの映画を初めて見たフランス語の授業の後、見終わった学生たちはみんな頭の中「?」だった。そりゃそうだよね。それを表現したかったのが、ボリス・ヴィアン。普通の話のはずなのに意味が分からない。意味が分からないほどの「躁鬱」を表現したかったんだと思う。お金があって、何不自由なくて、好きな音楽、好きな友達、そして恋をしているとき。そんな幸せの絶頂から最愛の恋人、妻が病に侵される。そんな人間の目には世界がどう映っているのか。


そして、この本の中で地味に存在感を放つのがパルトル。勘の良い方は分かった方もいるかもしれないが、実際にいたフランス人哲学者ジャンポールサルトルをオマージュしたパルトルという哲学者が出てくる。


パルトル

パルトルの講演会


ジャン-ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre、1905年6月21日 - 1980年4月15日)は、フランスの哲学者、小説家、劇作家。内縁の妻はシモーヌ・ド・ボーヴォワール。「実存主義」の提唱者、そして自分の意志でノーベル賞を拒否した最初の人物としても知られている。


ジャン-ポール・サルトル

サルトルが提唱した哲学は「実存主義」。この実存主義を簡単に説明すると「人間は自分で自分をつくっていくもの。環境のせいにするな!社会参加しろ!」という哲学です。第二次世界大戦後、このサルトルの実存主義に傾倒する人々がとても多かった。

それもそのはず、第二次世界大戦のときナチス占領下になってしまったパリ。終戦後、パリでは二度とこんな屈辱は受けまい、と「社会参加(アンガージュマン)」が叫ばれていた。だからその時代、世界中でサルトルの実存主義をみんなが受け入れて学生運動が盛んだった。


しかし、環境や、自分の行動、では説明がつかない、避けられないものがこの映画には描かれている。無償で誰かを愛したい気持ち、自分のことは後回しで誰かを助けたいという気持ち、そして死。


とっても切ない泡のような、うたかたの日々が描かれています。切ないけど1度見てみてほしいな。デュークエリントンのジャズがそこら中に散りばめられていることで色々と救われるんです。その音楽についての話は次回書いてみまーす。

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